2021年11月(第159回)に簿記2級3級を受験した私の試験結果と受験した感想をまとめました。
実際に試験を受けてみた感想から、何分で解き終わったか、目標点数、過去問の初見点数まで振り返りました。
これから簿記を受験する方や、受験を考えている方に参考になれば幸いです。
結論
- 試験結果 3級86点、2級83点
- 新試験で3級は難易度上昇、2級は適切な難易度になった印象
- 2級は工業簿記を得点源にする方針は変わらない
私の試験結果は3級86点、2級83点でした。
(共に70点以上で合格です。)
第158回から大幅な試験の改定がありましたが、それを受けて3級は難易度が上昇し、2級は適切な難易度になった印象です。
ちなみに私の受験した第159回の合格率は3級が27.1%、2級が30.6%でした。
3級は直近10回の中でも最低の合格率でした。(戦慄)
2級は直近10回の中でも最高の合格率でした。(歓喜)
合格率が3級よりも2級の方が高いという、かなり異常な回でした。
簿記試験は出題される問題の難易度が安定しないことが有名(私調べ)なので、受験した回によって合否が左右される部分もあると言えるでしょう…
2級は工業簿記を得点源にするという方針は変わらない印象です。
第1問、第4問、第5問で得点を稼ぎ、第2問、第3問でどれだけ粘れるか、これが基本戦略になると思います。
試験の結果、感想
- 3級 86点 残り3分で終了(見直し完了)
- 2級 83点 残り5分で見直しして終了
- 3級は難易度上昇、2級は適切な難易度になった印象
3級は見直し含め全て終わった時点で残り3分でした。
2級合格者が残り3分までかかるということは、3級のみの受験者は全て解答することはかなり難しいかと思います…
鬼門の第2問は埋められるところを埋めて、第3問へ注力する方が良いと思います。
かっこは全て埋まらない、という前情報があったので、どのような問題か気になっていましたが、問題を見れば理解できました。
勘定記入から締切までを理解していれば、問題なく対応できると思います。
3級は計算用紙は使わず、余白で十分に対応できました。
2級の感想は「連結会計の出題方法はこれでいいんだよッッ!!」でした。
連結会計の論点は間接的に問われる問題だったので、仕訳ができれば解答できる内容でした。
クレアールの直前答練やTAC予想問題集の内容と大きく外れることはなく、初見の内容はない印象でした。
問題の余白も活用すれば、計算用紙は余裕で余りました。
しかし、問題冊子の右側に計算用紙が開かれるので左利きの方は記入しにくいと思います。
スピードを求められる試験で、これは不公平感が出ると思います。
これは是非とも改善してほしい点と考えています。
問題を解く順番、目標点数
- 3級 第1問→第2問→第3問
- 2級 第1問→第4問→第5問→第2問→第3問
- 3級は第2問の見切り方、2級は仕訳と工業簿記を得点源にする
3級は第1問から順番に解いていきました。
しかし、2級合格者が手を止めずに解答して残り3分だったので、第2問で手が止まるようであれば先に第3問を解くのはありだと思います。
3級の目標点数、実際の点数、受験者平均点
- 第1問(45点満点) 目標42点 実際45点 平均32.3点
- 第2問(20点満点) 目標10点 実際14点 平均7.8点
- 第3問(35点満点) 目標18点 実際27点 平均13.8点
※平均点(合計53.9点)は第159回のデータを参照しています。
第1問の仕訳問題は1問ミス程度で、得点源にすることが必要だと思います。
鬼門の第2問は半分得点できればOK、第3問は時間の許す限り得点を目指すという形がベターではないかと考えています。
個人的には満点だと思っていたので、間違えていた部分が非常に気になります…
2級の目標点数、実際の点数、受験者平均点
- 第1問(20点満点) 目標20点 実際16点 平均10.7点
- 第2問(20点満点) 目標10点 実際18点 平均7.9点
- 第3問(20点満点) 目標10点 実際12点 平均7.2点
- 第4問(28点満点) 目標24点 実際28点 平均16.5点
- 第5問(12点満点) 目標8点 実際9点 平均7.6点
※平均点(合計50.0点)は第159回のデータを参照しています。
第1問の仕訳問題を満点、第4問と第5問の工業簿記で1問ミス程度に抑え、この3つで50点を確保すること強く意識していました。
商業簿記の第2問、第3問は半分(各10点)得点できれば十分と考えていました。
実際の試験ではまず、仕訳問題を1問ミスしました。
(クレジット売掛金の論点は過去問と同じだっただろ…ちゃんとして)
第4問は満点、第5問は1問ミスでした。
第4問では材料副費が問われるものがあり、しっかりとフォローしておいて良かったと思いました。(クレアールのテキストに記載なし)
問題の読み込みが浅く1問ミスとなりましたが、目標通り得点できました。
第2問は勘定記入がメインで注意しながら記入すれば解けた印象でした。
ここで18点と大きく稼ぐことができたため、合格を決めることができました。
第3問は本店、支店のどちらを解答指示されているか確認することが重要でした。
この点を誤り、得点できなかった人も多かったようです。
12点獲得できたので十分でした。
解き終わった際も手ごたえはあり、結果も83点だったので無事2級3級W合格となりました。
過去問、予想問題の点数
- 3級は1カ月程度で安定して9割得点(旧試験)
- 2級は5カ月程度でギリギリ合格ライン上
- 力試しとして旧試験の過去問を解くのはアリ
ここでは私が過去問や予想問題を初見で何点取れたか、紹介します。
改定前の試験で現在の試験と内容が異なる部分はありますが、類似問題も多いので、過去問を解くことは力試しには適していると思います。
自身の点数と比較して、理解度の目安になれば嬉しいです。
3級の過去問得点
- 第150回 96点 (合格率:43.8%)
- 第151回 100点 (合格率:55.1%)
- 第152回 100点 (合格率:56.1%)
- 第153回 96点 (合格率:43.1%)
- 第154回 96点 (合格率:49.1%)
- 第156回 93点 (合格率:47.4%)
クレアール教材で1カ月(約112時間)学習した状態で、過去問に挑戦しました。
新試験になり第2問の対策は必要かと思いますが、安定して90点以上得点できていました。
これを見ると簿記3級は1カ月でも十分に取得を目指せる、と感じました。
2級の過去問得点
- 第150回 74点 (合格率:14.7%)
- 第151回 72点 (合格率:12.7%)
- 第152回 70点 (合格率:25.4%)
- 第153回 76点 (合格率:27.1%)
- 第154回 90点 (合格率:28.6%)
- 第156回 64点 (合格率:18.2%)
- 第157回 64点 (合格率:8.6%)
学習開始から約5カ月(2級のみ約250時間)学習した状態で、過去問に挑戦しています。
この時点でギリギリ合格ライン上にいる感覚でしたが、なんといっても第156回、第157回は明らかに地獄回です。
第156回は第2問の有価証券処理と第3問の連結会計の難易度が異常でした。
まず初見で完答は不可能なレベルで、どれだけ部分点を稼ぐことができるかが勝負でした。
工業簿記にもミスが出てしまい、合格点に届かずでした。
第157回は第2問のリース取引の問題量が凄まじいです。
半年ごとに減価償却処理をしろ、リース品燃えたから適切に処理しろ、当期の支払リース料とリース資産除去損を答えろ、という具合です。
この第2問で6点しか取れず、合格点には届かずでした。
合格率も8.6%と、間違いなく地獄回でした…
時間に余裕のある方は、旧試験の過去問も解いてみることをおススメします。
難問にぶち当たってしまったときの考え方やメンタルトレーニングができると思います笑
(第151回の子会社が2つある連結会計もかなりエグイことになっているので、興味のある方は問題を見てみて下さい)
個人的には第156回と第157回で合格した方は本当に凄いと思います。
あの地獄を初見で、かつプレッシャーのかかる本番で突破するのは尊敬の念しかありません…
これから受験する方々には、試験本番で奇問や愚問に遭遇しないことを深く祈っております。(合掌)
【参考】クレアール直前答練(2級)
- 158回対策
第1回58点、第2回56点、第3回56点、模試51点 - 159回対策
第1回76点、第2回69点、第3回78点、模試70点
クレアールの直前答練は試験日の約3週間前から順次公開されます。
予想問題3回分と模試1回分の問題、解説動画などを利用することができます。
第158回分は特に工業簿記が難しい設定となっており、全て50点台と悲惨な状況でした。
新試験の1回目だったということもあり、工業簿記の難易度設定に少しズレがあったのかと思います。
第159回分は本番試験と比較しても、精度が高い予想問題になっていた印象です。
なんとか合格ライン上にいることは確認できたので、苦手な論点を復習しつつ、新試験の対策を進めた形です。
【参考】TAC予想問題集(2級)
- 第1回88点、第2回76点、第3回54点、第4回55点
TAC予想問題集は予想問題4回分と仕訳カード(単語カード方式)が付属しています。
問題の精度が高く、時間が確保できるのであれば購入して挑戦することを推奨します。
後半の問題の方が難易度が高く設定されているようです。
私も2周問題を解いて、理解を深めつつ試験対策を行いました。
解説も丁寧でわかりやすく、得点すべき問題のランク付けもされているので、時間配分の考え方についても理解することができます。
発売時期は試験日の約3カ月前となっているようなので、受験を考えている方は書店に行って、中身を確認してみると良いでしょう。
まとめ
- 試験改定で3級は難易度上昇、2級は適切な難易度になった印象
- 3級のみ受験の方は特に時間配分に注意
- 2級は仕訳、工業簿記を得点源にする
第158回からの試験改定で、3級は難易度上昇、2級は適切な難易度になったのでは、と考えています。
3級は第2問が鬼門になり、会計処理の流れを正しく理解しているか問われるようになりました。
試験時間も1時間となりスピードも求められるため、手を止めないようにすることが重要になります。
2級は第1問の仕訳問題と第4問、第5問の工業簿記の60点をいかに得点源して、第2問と第3問の商業簿記で部分点を取るかという方針は変わらない印象です。
異常な連結会計や、作業量がおかしい固定資産や有価証券の問題は出題されにくくなっていると感じたので、2級については適切な難易度になったと考えています。
本記事がこれから受験する方々の参考になれば幸いです。